AIニュースを読むための用語集(2026年10月版)— トークン・MCP・ハーネス・電子透かしまで
この用語集の使い方
AIの発表は、同じ言葉を前提知識として使います。意味があいまいなまま読むと、「何が新しいのか」「自分に関係あるのか」を取り違えます。ここでは、各社の公式ドキュメントにある説明をもとに、それぞれの言葉を2〜3文で説明しました。言葉の後ろの【】は、その言葉が実際の判断に関わる場面です。
料金・性能にかかわる言葉
トークン
AIが文章を処理するときの単位です。APIの料金は、ほぼすべて「100万トークンあたり○ドル」で決まります。Anthropic の料金ページでは、英語の場合で1トークンがおよそ4文字・0.75語とされています。【会社が違えば同じ文章でもトークン数が変わるので、単価だけでは比べられない】
コンテキストウィンドウ
AIが1回の処理で読める量の上限です。Anthropic の料金ページによると、Claude 4.6 以降のモデルは100万トークンまで標準価格で読めます。ただし、長い入力に割増料金がかかるモデルもあります(Gemini 3.1 Pro は20万トークン超、Claude Haiku 5.5 は10万トークン超で単価が上がる)。【長い資料を丸ごと読ませる前に、割増の境目を確認する】
プロンプトキャッシュ
同じ指示や資料を何度も送るとき、2回目以降は「読み込み済み」として安く処理する仕組みです。読み取りの単価は通常入力の2.5〜10%程度まで下がります。【エージェント作業では費用の大半がここになるので、モデル選びで最も差がつく】
バッチ処理
急がない処理をまとめて送り、時間をかけて処理してもらう代わりに料金を下げる仕組みです。OpenAI・Anthropic・Google はいずれも50%引きにしています。【翌日まで待てる大量処理なら、まずバッチを検討する】
思考(推論)・思考量
回答の前にAIが内部で考える処理のことです。Google の料金表は出力料金を「思考トークンを含む」と明記しており、考えた分も料金に入ります。Anthropic の Claude Opus 5.5 では思考量(effort)を段階で選べ、既定は「中程度」です。【思考量を上げると性能は上がるが、費用も上がる】
ベンチマークと標準誤差
ベンチマークは、モデルの性能を測る共通の試験です。Anthropic は Terminal-Bench 4.0 について「標準誤差は約±2.6ポイント」と注記しています。【1〜2ポイントの差は誤差の範囲で、優劣の根拠にならない】
エージェントにかかわる言葉
エージェント
指示に一問一答で答えるのではなく、目標に向けて自分で手順を考え、ツールを使いながら作業を進めるAIの使い方です。OpenAI の dots のように、常時動き続けて継続的な役割を担うものも出てきました。【任せる範囲と、勝手にやってはいけないことを先に決める】
ハーネス
AIモデルを実際の作業に使うための「外側の仕組み」を指す言葉です。モデルへの指示の組み立て、ツールの呼び出し、長い作業での文脈の整理などを受け持ちます。OpenAI は Agents API を「Codex のハーネスをマネージドサービスとして利用できるもの」と説明しています。【同じモデルでも、ハーネスの出来で結果が大きく変わる】
MCP(Model Context Protocol)
AIアプリを外部のデータやツールにつなぐための、オープンな共通規格です。公式サイトは「AIアプリにとっての USB-C のようなもの」とたとえています。Claude や ChatGPT から、ファイル・データベース・検索などを同じ方式で使えます。【対応サービスが増えるほど、つなぐための個別開発が要らなくなる】
スキル(Skills)
Claude Code などで、繰り返し使う手順や知識をまとめておき、必要なときに呼び出す仕組みです。公式ドキュメントでは「同じ手順書をチャットに3回貼ったらスキルにする」が目安とされています。【毎回同じ説明を打ち込んでいるなら、スキル化の候補】
サブエージェント
メインのAIとは別の作業スペースで調べものなどを行い、結果の要約だけを返す補助役です。大量のファイルを読む作業を任せても、メインの会話が埋まりません。【本筋と関係ない出力で会話が長くなったら使う】
フック(Hooks)
決まったタイミングで必ず実行される処理です。Claude Code の公式ドキュメントは、CLAUDE.md やスキルに書いた「〜しない」という指示は「リクエストであり保証ではない」、フックによるブロックは「強制」だと区別しています。【絶対に守らせたいルールは、指示ではなくフックにする】
コンピューター操作(computer use)
AIが画面を見て、クリックや入力でソフトウェアを操作する機能です。OpenAI は DevDay 2026 で Agents API にこの機能を加えました。【APIのない古い業務システムも自動化の対象になる】
グラウンディング
AIの回答や生成物を、検索結果など外部の情報にもとづかせることです。Google の画像生成モデル Nano Banana 2.1 は、Google 検索の結果を使って、天気予報のグラフのような最新情報入りの画像を作れます。【最新の事実が必要な用途では、グラウンディングの有無を確認する】
安全性・規制にかかわる言葉
電子透かし(SynthID・C2PA)
AIが作った画像や文章に、目に見えない印を埋め込む技術です。Google は生成画像すべてに SynthID を入れ、OpenAI は C2PA メタデータと不可視の透かしを使っています。EU AI Act では、2026年8月2日からAI生成コンテンツへの機械可読な印付けが求められています。【AIで作った画像を「人が作った」と偽ることは、技術的にも難しくなっている】
蒸留(distillation)
強いモデルの出力を大量に集めて、別のモデルに能力を写し取ることです。Anthropic は、大量の偽アカウントを使った不正な蒸留を問題視しており、2026年8月31日以降に作られた API アカウントでは、過去の思考内容を書き換える操作を禁止しました。【自社でAIを組み込んでいる場合、仕様変更の影響を確認する】
ゼロデータ保持(ZDR)
送った内容を提供元が保存しない契約・設定です。Claude Opus 5.5 も ZDR で使えるとされ、OpenAI は DevDay で、ZDR を保ったまま安全審査を行う Private Intelligence を発表しました。【社外秘の情報を扱うなら、まず確認する項目】
データレジデンシー
処理やデータの保管を特定の地域に限定することです。OpenAI は料金の+10%、Anthropic は米国内処理の指定で1.1倍と、どちらも割増になります。【規制上の要件がなければ、指定しないほうが安い】
関連する解説
- 主要AIのAPI料金早見表(2026年10月版)(料金に関する言葉を、実際の単価で確認できます)
- 同じベンチマークなのに数字が違う — 3社の公式発表を突き合わせて分かったこと
- Claude Code の拡張機能、結局どれを使えばいいのか
一次ソース
この記事は、本文末尾に挙げた各社の公式発表・公式ドキュメントを突き合わせて AI(Anthropic Claude)が下書きし、運営者が数値と内容を確認したうえで掲載しています。 数値は掲載時点の公式資料にもとづきます。最新の条件は各社の公式ページをご確認ください。
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